n4 ポチさんに。残暑見舞い申し上げます!

372. 口口桃音
... 2020/08/09...Sun // 08:31:25

(井戸端会議での何気ない会話の中で、これまた何気なく持ち掛けられた素敵な手紙の誘いに嬉々として乗った。荷物の中にはスタンプセットもあり、色とりどりのペンやデザイン用の色鉛筆もある。スケッチを重ねて束ねて一旦脇へ除けると、青い海と白い砂浜の描かれた葉書に文字を書きつける。)

残暑御見舞い申し上げます。
俺は此処で迎える夏は初めてですが、やっぱり暑いですね!でも海が直ぐ近くにあると、毎日リゾート気分で凄く楽しいです。
ポチさんは毎年、どんな夏を此処で過ごしてるんですか?
夏だけに取っておいてある楽しみはあったりしますか?
手紙出していいよって言ってもらえて嬉しかったです。ありがとうございます!
お体気を付けて、夏、楽しみましょう!

(ペンを走らせてみれば書きたい内容が次々思い浮かんで、結局ヒマワリのスタンプを捺せそうな余白は左上一箇所だけだった。こつこつ、とキャップを被せたペンの尾を顎に触れさせつつ微笑み、間もなく席を立つと投函の為、外出の支度を始めた。)

n5 ろろくんへ

373. ぽち
... 2020/08/11...Tue // 00:33:15

(今日も暑い中、冷たいアイスを頬張りながら仲良しの犬と共に老人の家へ帰宅する。ポストに手紙が投函されるのを見つければ、アイスとは反対の手で持っていたうちわを放り投げて飛びついた。「オレ宛て?オレ宛てでしょ?」と嬉しそうに尋ねれば、もはや慣れた配達人は笑顔で頷いて、その場を後にする。急いでハガキを読んでみれば、自然と笑みが零れた。全ての文字を自分だけでは読み取れないが、それでもなんとなくわかる言葉を拾ってそれを何度も何度も読み返す。最終的には老人に漢字を教わって、全てのことを理解すれば自分もすぐにハガキを用意して)

ろろくんへ!

こんにちは! ぽちです
おてがみ ありがとう! とっても うれしいです!
ここの うみは きれい だよね! おれも だいすき!
おれは なつは あいす たべてます! おいしい! ちょこが すきだ!
むしとりも たのしいよ! ろろくんも いっしょにやろう!
ろろくんも おからだには きおつけて ね!

ぽち

(鼻歌交じりに今日は蛍光ペンなんて使ってみようか。カラフルなそれは踊るように書かれていた。拙い筆跡にひらがなだらけの文章は子供のように見えるかもしれない。夏らしく余白には様々な色を使った花火や、真っ赤なスイカ、青い海なんかも描かれている。やがて満足したのかそのハガキを大事にそうに抱えて向かったのは勿論ポスト。夏らしい青い空に赤い色がよく映えている。もう一度自分のハガキをじっと見返して、にかっと笑えばポストへ投函。中でコトン、と音がすれば、後ろでワン!と犬が吠えた。「なー!ろろくんもオレの手紙喜んでくれるかな?喜んでくれるといいなー!」なんて言いながら、また海の方向へ向かって行った)

n1 ポチさん!

374. 口口桃音
... 2020/08/16...Sun // 09:10:31

(手紙が届くというのは良いものだ。お返事はあるかなとポストを覗く時の楽しみは実に良い。ひょいと確かめてみた中に一通の葉書を見つければ口口の瞳は輝いた。日頃仲良くしている手芸屋さんで買い込んだ生地を片手で纏めて抱えると空いた利き手へ大事そうに返信を握り締めて部屋へ戻る。色とりどりの蛍光ペンで彩られた文章、余白へ描かれた夏の風物詩を目にして、思い付いたように立ち上がった。)

(ガーゼ生地を選び、ミシンを走らせていた時間は十分未満。ぱっと出来上がったのは、ガーゼハンカチだ。清潔感溢れる白地に絵柄は花火、スイカ、青空と海、クワガタ、それと笑顔が可愛い犬。白い便箋を一枚取り上げる。)

ポチさんへ。
おへんじ、ありがとうございました!
ポチさんのはがき見たら、このハンカチをつくりたくなりました。
よかったら、つかってください!
アイスたべて、むしとり!いいですね。おれもやりたいな。
むしとりにオススメのばしょ、こんどおしえてくださいね!

(手芸より文章を考える方へゆっくり時間を費やしていた。気付けば日が傾き始めている。茶封筒へハンカチと便箋を入れれば、切手をペタリ。パタパタと軽い足取りでポストへ向かう途中、通りがかりの配達員さんを呼び留めた。無事に託せたなら、暮れなずむ空を見上げて深呼吸。夏の青空も、夕暮れだって。此処から仰ぐ景色は、何でも特別だった。)

n6 ろろくんへ!

375. ぽち
... 2020/08/22...Sat // 20:24:43

(元気なのはいいがこれくらい持っていけ、と言われて手渡されたのは麦わら帽子。被って見れば心地は悪くなく、鼻歌交じりに今日も今日とて楽しいことを探す旅に出る。これといった目的地もなくふらふら歩いていれば、トントンと肩が優しく叩かれた。振り向いてみると見知った配達人が笑顔を浮かべている。封筒を渡されればこちらも満面で笑みでお礼をして、日陰に移り早速封を開けた。目に入ったのは便箋と…予想もしてなかったハンカチだ。何故?どうして?と疑問が浮かびつつも口角が上がるのを隠せない。手紙を読んでみると前回とは違い、自分だけでも読めるように平仮名とカタカナで構成された優しい文章で、それにも心が温まる。今すぐにでも会ってお礼を言いに行きたいくらいだが、なんとかそれを抑えて再び老人の家へ戻った。早い帰宅に「昼飯はまだだぞ」なんて返されるがお構いなし。急いで便箋を用意して、今日は色鉛筆で思いを綴ることにしよう)

ろろくんへ!

こんにちは! ぽちです
はんかち はいってたよ! これ ろろくんが つくったって ほんと?
すごい じょうずだ! ぷろ みたい!
すっげー かっこいい! おれの すきなもの ぜんぶある!
いぬも かわいい!
ずっと だいじに すんね! たからものだ!
むしとり いいばしょ あるよ!

ぽち

(手紙の返事を書く間も嬉しくて何度も何度もハンカチを眺めた。その度にふふっと笑みが零れてしまう。無事思いのたけを込めればポストへ投函―しようとしたところでハッと気付いた。こんなにも素敵なハンカチを貰ったのに、浮かれすぎてお礼を言うことをすっかり忘れてしまっていた。危ない危ないとポストを机代わりに封筒を置いて、持ち歩いているペンを取り出す。封筒の裏側に大きく「ありがとう!!!」と書いて、改めて投函した。そしてポケットからハンカチを出し、青空へ向かって開いてみる。瑞々しい青に真っ白なハンカチがひらひらとよく映えている。早速誰かに自慢しに行こうとその足取りはまるで踊るようだ)


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