福永へ144. 鷲宮八慧 | |
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(子供達による水鉄砲事件に巻き込まれ、奇妙な体験をしてから早くも二か月が経とうとしていた。衣食住の確保すらも儘ならぬ状態で、無事に三日間を生き抜くことが出来たのは心優しき島民の――十数度目の誕生日を迎える少年のお蔭だった。遅くなってしまったがあの時の礼をするにも好都合だと、真っ白な便箋に綴ったのは。) 誕生日おめでとう。 ……と書き出したのはいいが、福永が何歳になるのか知らないんだ。 三日間も一緒に過ごしたのに、お互いの話は碌に出来なかったな。 あの時は………俺が小さくなった時のことだけど、世話になった。有り難う。 なのにまともに礼もしなかっただろ。 そういう訳で、誕生日祝いも兼ねて。良かったら親父さんと食べてくれ。 ふわふわのオムライスじゃなくて悪い。 これからも良い日々に。 漸く秋らしく……というか冷えるようになったから、身体に気を付けて。 次はゆっくり、それも平凡に話せると嬉しい。 じゃあまた。 鷲宮 (配達人の配慮により、恐らく今日中に届けられるのは手紙の他にもうひとつ。秋の果物の詰め合わせだ。大きなバスケットでは旬のぶどうやりんご、梨に柿、それから柚子や無花果などが犇めき合っている。新鮮なフルーツは一人で堪能するのも良し、無論誰かと分け合ったって構わない。幸多き一年となりますようにと祈る身としては、彼の思うが儘に扱ってくれるのが一番だ。) | |
鷲宮さんへ145. 福永正愛 | |
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お返事が遅くなってしまって、すみません…! 誕生日をお祝いしてもらって、本当にありがとうございます。 あっ、ちなみに僕は18歳になりました。3月には響咲学院を卒業するんですよ。 ところで、僕も鷲宮さんの年齢を知らない事に気付きました…もしよければ、誕生日と何歳になるのかを教えてもらえると嬉しいです…! いえいえ、こちらこそ守っていただいて、ありがとうございました。 鷲宮さんの機転がなければ、きっと僕も小さくなってましたから…お礼だなんてお構いなく、お互い様ですよ…! と思ったら旬の果物がたくさん届いて果物好きの父と僕が大喜びしています…あの、本当に何から何まで…ありがとうございます…。これでタルトを作ってみたいです。 父からもくれぐれもよろしくお伝えくださいとのことだったので、この場を借りてお伝えさせてもらいますね。 おかげさまで、18歳の初っ端から物凄く良い一日を過ごせました…! 鷲宮さんも、体が本調子に戻ってまだ長くないですし、くれぐれも無茶はしないでくださいね…!何かあったら、またいつでも僕が走りますから…! 何の心配事もなく普通にお話出来る機会、楽しみにしていますね。 それじゃあ、素敵なお手紙ありがとうございました。 (その手紙に同封したのはひよこ型のコースター。あれだけ大量の果物を頂いたせめてものお礼として選んだものだが、それが本来の用途と違っていようと何だろうと何らかの形で彼の生活に少しでも役立ってくれたら幸いだと思ったようで。) | |