福永153. サチ | |
| (――特に深い意味はない。ただ何となく、擦れ違った配達員の首根っこを掴んで真新しい板チョコを一枚押し付ける。普通に呼び止めて欲しいとか何とか聞こえたけど右から左へ聞き流し、家の場所と表札に刻まれた名を記憶から呼び起こして宛先を告げるともう用は済んだとばかりに黒いコートを翻した。そうして優秀な配達員により、お手軽価格のビターチョコレートは本日中にお人好しの少年の手に渡るだろう――) | |
サチさん155. 福永正愛 | |
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チョコレート、受け取りました。ありがとうございます。 板チョコは子供の頃に食べたきりだったので、懐かしく美味しく頂きました。 体調はもう大丈夫ですか? また苦しい思いをされていませんか? 僕に出来る事があれば、いつでも教えてください。 次はもう少し頼もしくなって、お手伝いに行けると思うので…! これからも、元気なサチさんでいてくださいね…! (という文言が認められた便箋はブラウンにピンク色といちごチョコレートを連想させる色合い。共に届くだろう箱の中身はアーモンドチョコレート。きっと彼も嫌いではないはずだとふんで送り付けたその選択が凶と出るか吉と出るかは分からない。) | |
福永156. サチ | |
| (アーモンドチョコを口に放り込みながら便箋を開けた男は、やがて口の中の甘さとは裏腹に苦い物でも食べたような顰め面で何時もの口癖を一つ零した。) | |