小沢深夜様154. ‐‐‐ | |
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(とある日。手紙にしては簡素な、丁寧に二つ折りされた真白い便箋が、手折られた白椿の小枝と共に扉に挟まれていた―。) 小沢深夜様 首の傷は、もう消えてしまっただろうか。 もし、まだ残っているのなら嬉しいな。 この前はすっかり言いそびれてしまってね。 今更だが、礼を言わせて貰おう。 食事の後片付けを押し付けて悪かった。有難う。 それと、ご馳走様。 (その内容が何を意味するのか、誰が出したものなのか、彼は気づく事ができるだろうか。恐ろしく綺麗な字体なのに、その内容には一種の寒気を感じるかもしれない。――ふわりと、鼻をかすめる香りは紙面からで。それはあの晩、吸血鬼の男が付けていた香水と同じ香りだった。) | |