山桜桃161. 赤羽湊斗 | |
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(直接本人を訪ねる事が一番手っ取り早いと分かっていても筆をとらずにはいられなかった――というのも、仲良しのジジイから「偶にはこういうのも良いもんだ」なんて余りのはがきを渡されたからだ。ただ処分するのが面倒だっただけなのだろうけれど、ジジイからそう言われてしまえば仕方ない。ジジイがそう言うのならば仕方ない。言われるがまま、真っ白な面にペン先を押し付けた。) フリーター様 どこの蕎麦が美味いの? その情報と引き換えに奢っても良いよ (朝は兎も角、昼も夜もジジイ共の家で飯を食う事が常だから幾ら約10年住む島内とは云え実際に足を運んでの外食経験はそう多くは無い。どちらかと言えばきっと彼の方が詳しいんじゃなかろうか、なんて考えで提示した条件。彼が呑む呑まないは彼次第。短く用件だけを書いたはがき。まだかなり白が目立つけれどこれはこれで味があるだろう。そう思えば口元が少しだけ笑った。さて後は、ポストに辿り着くのが先か寒空の下で働く配達員に出会うのが先か――) | |
赤羽パイセン162. 山桜桃ちゃん | |
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(家のポストには新聞とこれまた珍しい方からのはがきが入っていた。おやまあと驚きながらそのはがきに目を通すと自然と口が綻びそして早速部屋に入ると子供達がらいつの日か貰った特撮ヒーローが施されている便箋を机の上に乗せて、ペンを走らせた。) 赤羽せんぱいへ。 商店街で美味しいお蕎麦屋さん知ってるよ。もちろん山菜盛り盛りできるよ。 俺天そばがいいなぁ、せんぱい。 ゆすらちゃんより。 (そう少し癖が出ている文字を書き終えると、その便箋の端ににっこりした顔のマークを添えて二つ折りにし、封をしよう。丁度散歩をしようとしていたところだ。ついでにポストに入れに行こうと靴を履き外へ出ようか。ーー無事、ポストに便箋を入れることが出来たなら今から彼と蕎麦を食べることを楽しみにしながら目についたベンチで寒さなど気にぜずに眠りにつこうと。) | |