g メリーくん

19. ひつじの着ぐるみの人(仮)
... 2015/07/24...Fri // 18:59:33

(嵐の夜。寒い夜のこと。もしかしたらあれは夢だったんじゃないかと、錯覚しそうな小さなやり取り。ほんの僅かな些細な口約束を、あの時の相手は覚えていないかもしれない。しかも、あれから随分と時間が経ってしまったのだ。それにも関わらず、行動に移したのは単純に面白そうだと思ったことと、相手が誰なのか知りたい好奇心故なのだろう。ひつじが好きできぐるみが好きな彼の正体を知りたい。温泉には少々季節が過ぎてしまったが、直接話を交わせるならそれもまた一興といったところだ。そんな気持ちで手に取った筆は思うがままを綴る。)


メリーくんへ

こんにちは、お久しぶりかな。
嵐の晩にお世話になった者です、とか言ったら分かる?
あの時言っていた約束はまだ有効かなーって思ってさ。
ひつじの着ぐるみじゃないほうね。そっちはそっちで面白そうだけど。

こっちはあの時の約束、わりと本気にしてるよ。
俺の後ろにほんとにいるのかどうか、気になって仕方ないって思ってるとか言ったらさ、本気でラブレターっぽくて面白いよな。

それじゃあ、もしもメリーくんがいいなら返事ちょうだい。
ここの郵便屋さんは優秀だから、多分届く。

ひつじの着ぐるみの人(仮)


(内容よりも宛先と差出人の名前が曖昧であり、配達人からしても差出人は分かるとして、宛先に苦戦しただろう。なんせ本人も相手の正体を知らないのである。直接頼んだ郵便のお兄さんには「明るい声でー、結構丁寧な感じ?あ、でも少し悪戯とか好きそうで、ひつじの着ぐるみが好きな若めなひと!」と、ほぼ声の特徴で伝えたのだから。この島の人なのは確かだと聞くまでもない情報を最後に付け足して、郵便屋さんの背中を見送ったのだ。届けばいいなあと、確率は半々よりも低いものか。恐らく普通の手紙よりも遅くに届くだろうと推測するそれに、楽しげな気持ちは萎えることはないのだろう。)

f 親愛なるひつじくんへ

20. メリーくん
... 2015/07/25...Sat // 21:07:14

(とある暑い日。店に一人の男がやってきた。彼はここ数日、ある問題に悩まされているのだという。彼を悩ませるものの正体が知りたい。好奇心旺盛なもう一人の男が、彼に癒しを提供する傍らで尋ねてみたところ、宛先不明の手紙をどう届けるか悩んでいるとのこと。何となく。もしかしたら。ちょっぴり思い当たるところはあったけれど、特徴を聞いた途端、ついくすりと笑い声が漏れてしまった。目の前の彼――配達人には自分の知り合いだからと伝え、その手紙を受け取って、手紙の主についての情報をくれようとした彼の唇にクッキーを押し込んで黙らせる。こういうのはお互い知らない方が面白いでしょう?なんて微笑む男こそ、手紙を受け取る筈の男であるということを秘めたのは同じ理由から。配達人を送り出す際に、メリーくん宛は自分に届けて欲しいと頼んでおいた。これで次からはもっとスムーズにやりとりできるようになる。彼を待たせてしまっただろうから、早く返事をしなきゃ。本日はこれにて店仕舞い。早速頂いた手紙を開き眼を通して。綴られた文字にあの時と同じく楽しげに声を揺らしたら、心躍らせながらに筆を取り――)


親愛なるひつじくんへ


やあ、こんにちは。
手紙をくれてありがとう。とても嬉しかったです。
あの時はまだ肌寒かったのに、今は毎日暑いね。
体調を壊したりはしていない?ちょっと心配です。

ラブレターが嬉しかったから、きみに会いにいってもいいですか?
温泉に入るにはちょっと暑いだろうけれど、きっと湯上りの一杯はおいしいと思うんだ。
着ぐるみも夏仕様のものを探しておくね。
取り寄せるのにすこし時間が掛かっちゃうからもうすこしお待たせしちゃうけれど、許してもらえるかな?

あ。配達人のお兄さんに、なぞかけしたって?
結構合ってて笑っちゃったよ。
一つだけ訂正しておくと、俺はひつじの着ぐるみが好きなんじゃなくて、着ぐるみを着てはしゃぐきみが見てみたいだけだよ。今度からはそう伝えてね。

きみの後ろもいいけれど、横に並んで立てる日を楽しみにしてる。


メリーくんより


(自室にて真っ白な便箋に黒いペンで文字を綴る。最後に足した名前を見下ろして、ふわりと微笑んでしまうのは先日の楽しい一時を思い出したから。白い封筒に入れようとしたところでふと動きが止まった。ほんの少し悩んでから便箋の端に向けてスプレーを一噴き。これでレモングラスの香りがほんのり漂う便箋の出来上がり。それを封筒に入れて封をしたら、先程の配達人のもとへと向かう。宛先は、なぞかけをしてきた人に。よろしく、と早速手紙を届けにいった彼の後ろ姿を眺める男は機嫌良さそうに笑っていた。)

g メリーくんへ

21. ひつじくん
... 2015/07/26...Sun // 22:17:19

(何日、何週間かかるだろうかと、宛先不明の手紙を行方を待つ心境は不安よりも楽しみに近い。待っている間に何度か配達のお兄さんと顔を合わせたが、難航している様子にちょっとだけ申し訳なくなりノンアルコールのサービスをしたのはすぐのことである。難題を吹っ掛けたのは自覚しているので気長に待とうと昨日もそう思っていた。それがまさか、思っていたよりも早く壊されるとは嬉しい驚きとはこのことだろうか。お兄さんから手渡された白い封筒と、やっと仕事が終わったと達成感と疲労を見せるお兄さんを交互に見て、そして男はにんまりと笑みを浮かべた。綺麗な封筒を開いて便箋を開けるといい香りが漂い、初めて貰う洒落たものに電話の声を思い出して好奇心が膨れ上がる。そして、その内容を見て――肩を揺らして笑ったり突っ込んだりした姿を誰にも見られなくて良かった。一人でそんなことをしているのだから、確実に不審者扱いだっただろう。)


メリーくんへ

こんにちは。本当に返事が来てちょっとびっくりした。
暑くてやる気は出ないけど、体は元気だから問題なし。
メリーくんこそ、夏バテとか大丈夫?

ラブレターを気に入ってもらえてうれしいな。ああいうの初めて送ったからさ。
で、夏仕様の着ぐるみがあることにも驚きなんだけど、やっぱりそっちの約束も有効だったんだ。ちゃんとメリーくんも着てくれることが条件な。
取り寄せが出来たら、メリーくんから手紙をちょーだい。配達のお兄さんももう分かったっぽいし。
湯上りの一杯も、メリーくんと会えるのも楽しみだから。

なぞかけじゃなくって、わりと真剣だったんだけどなー。
次からはそれで説明するけど、メリーくんの趣味が疑われそうになんない?
メリーくんと会った時のお兄さんの反応を見れないのが残念だなあ。

メリーくんの後ろに俺が立つのも面白そうだけどな。
それはまたの機会にしよっか。

ひつじくん


(差出人を彼からの呼び名に訂正して、こんなものかと筆を止めた。真っ白な封筒に便箋は周囲が淡い水色で暈しのようになっている、先日と同じものだ。さて、配達人へ渡す時の説明は如何しよう。同じ人に、でもいいがそれではつまらない。「着ぐるみが好きなんじゃなくって、俺が着たのが好きらしい。着ぐるみフェチなのかな。あと、丁寧っていうか、ホストみたいな人だった。」、メリーくんにと声を掛けた後、特徴を楽しげに話しながらよろしくと、手紙を渡す。疑問符を浮かべるお兄さんを前に男は楽しげに笑って、お仕事頑張ってと手を振って踵を返すのだ。次の返事は何時くるだろうと、胸を弾ませながら。)

f 親愛なるひつじくんへ

22. メリーくん
... 2015/08/04...Tue // 00:07:47

(彼に返事を書いた数日後。再び届けられた一通の手紙。先日ひつじくんからもらったものと同じ柄の封筒だとすぐに気付いて、そんな自分に笑ってしまった。どうやら自分は思った以上に彼からの返事を期待していたらしい。すぐに中を見たい気持ちはあるが、楽しみは後にとっておいて今は配達人を労うことから始めよう。話を聞けば聞く程に手紙の内容が余計に気になるし、配達人の彼の「着ぐるみの好きなホストってどんな人ですか?」なんて聞かれて更にまだ見ぬひつじくんを問い詰めたくもなる。会う前からこんなに興味惹かれる事になるとは。やるなぁ、なんて一人呟きを落とし楽しげに微笑みながら、まだまだ話は尽きなさそうな配達人の彼の話に耳を傾けた。うっかりひつじくんの正体を漏らしかける度に、彼の口にクッキーを捻じ込んで。何度かそんな動作を繰り返して遊ぶ。そんな楽しみを提供してくれたひつじくんにある意味感謝しなくてはいけないかもしれない。)



親愛なるひつじくんへ


やあ、こんにちは。
ひつじくん、ひつじくん。
お兄さんに「着ぐるみ好きなホストっているんですねぇ」って言われちゃったよ。
俺、ホストじゃないからね?ただのメリーくんだからね?

という訳で、この島の配達のお兄さんは本当に優秀だね。
今回も無事、手紙受け取りました。
きみが元気そうで良かった。
少し暑さに参ってしまってはいるけれど、俺も元気にしているよ。
夏の暑さを紛らわしてくれるきみがいるからかな。
こういうやりとりも新鮮で良いね。
手紙だけじゃなくて、手紙を運んでくるお兄さんとのやりとりごと楽しんでるよ。
いつも楽しい便りをどうもありがとう。

夏の温泉だからね。できる限り涼しい着ぐるみをと頑張ってみたけれど、それでも暑いかも。
それは覚悟しておいてください。
届いたら改めて俺から連絡するからもう少しお待ちください。

ひつじくん、俺の後ろに立っても良いけれど、膝裏は狙わないでね?
あと脇も。ここ大切です。
きみに会える日を楽しみにしているよ。

メリーくんより


(真っ白い便箋に今度はグレープフルーツのアロマオイルを一滴垂らし、同じく白い封筒の中へと入れた。彼がいつも言葉を添えてくれるように、自分も何か贈ってみようか。そんな好奇心により配達人へと手紙を届ける際に「真剣になぞかけするいたずらっこに」と添えてみた。彼はどんな反応をするのだろう。直接見ることは叶わないけれど、また会う時の楽しみが増えた。日時を決めたらいよいよだ。心躍らせながら、その日を楽しみに待つ事にしよう。)

f 親愛なるひつじくんへ

24. メリーくん
... 2015/08/10...Mon // 14:25:30

(待ちに待った物が届いた日。直ぐに用意しておいたカードを配達人へと渡しに行った。連日の暑さは留まる事はなく、外を歩くだけで汗が額に滲むけれど、いよいよ彼に会える喜びと、彼が無事辿り着けるのかというほんの少しの悪戯心を目の前にしたら逸る気持ちを抑えるなんて無理だった。配達人へと手紙を託し、早速配達へと向かう彼を見送る間中機嫌良さ気に浮かべた笑みは耐える事はなかった。)


親愛なるひつじくんへ


お待たせしました。準備はいい?

来週の土曜日、15時に地図の場所で待ち合わせ。
迷いそうだったら場所を変更するよ。

ひつじくんは迷わず辿り着けるかな?

メリーくんより

(いつもと違い、真っ白な封筒の中には今日は白色の縁を金色の蔦で囲われたカードと地図が入っている。地図には簡単な道案内も添えてあるが、花都通りから森に入り、西へ。との一言だけ。無事辿り着ければ、そこに小さな小屋がある事は分かるだろうけれど、看板は小さく、建物の入り口に藍色の無地の暖簾があるだけで初見の彼には湯屋と気付けるかどうか分からない、そんな少々分かり難い場所がゴールだった。ちゃんとそこまで伝えない辺りが意地の悪いところ。その上で更に悩むのは、どう彼の背後を取るか。ああでもないこうでもない、と頭の中でイメージをする男は、今から楽しみで仕方ないようだ。)

g メリーくんへ

26. ひつじくん
... 2015/08/11...Tue // 23:00:31

(着ぐるみの用意が出来たら。それがまるで合言葉のようであり、本気で着ぐるみを用意するのかと可笑しい様な楽しいような、ちょっぴりスリリングなような、様々な感情が入り混じったままの幾日が過ぎた。夏用の着ぐるみは風通し重視で透け素材でもあるのかもしれないと憶測を立てていれば、いつもの郵便屋さんが訪れる。待ってましたと言わんばかりの笑顔で出迎え「なぞかけの悪戯っ子宛て?」などと、以前郵便屋さんから聞かされたあだ名を口にして手を差し出そう。正しく悪戯っ子の笑みで、頭の中は既に顔も知らぬ着ぐるみ好きの相手で埋められているのだった。)

メリーくんへ


夏用の着ぐるみがあることに驚いたひつじです。
温泉に行く準備ならばっちり。多分。

日にちは大丈夫だけど、メリーくんってさっくり意地悪だよな。
なぞとき云々って実はメリーくんのほうじゃん。
まあ、これぐらい楽しみがあったほうが飽きないけどね。

とりあえず、メリーくんはひざ裏と脇に注意。
駄目って言われたらしたくなるのが男心ってもんだし。

それじゃ、地図を頼りにがんばってみまーす。

ひつじくん

(手紙を読んで地図を見て、くるくると紙を回しながら睨めっこすること何分経っただろうか。分かりやすいが、分かりやすすぎて分からない。いたってシンプルな地図に唇を尖らせて思わずサメの抱き枕にダイブしたほどだ。最後の一言が試されているようで、ここで分からないと返事をするのも少々面白くない。小さな頃から知っている島だし、なんとかなるだろうと根拠のない憶測に従って、彼との約束に頷く返事を出したのはすぐだった。こちらはいつも通りの便箋を使って、郵便のお兄さんにお願いをしよう。兎に角、彼と会ったら手紙のことを実行しなければ。シンプルな地図を片手に約束の日まで男は決意を露わにするのである。)


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