ポチくんに200. 山田太郎 | |
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このあいだは クラゲのボールペンを どうもありがとうございました。 さっそく そのペンをつかって かいています。 もじを かくと クラゲもゆらゆら ずっとなにか かいていたくなります。 (白い便箋に白い封筒。四葉を銜えた白い鳩が描かれたごくごくシンプルな手紙に記されたのは、まるで遠足の前日を控えた子供の高揚。マスコットのついたペンを使うなんて酷く久しぶりで、呼び起された童心がくすぐったい。微笑むような文字の運びは、数行の間隔を置いて、はてと首を傾げながらこんな事を問いかけた) ――ときに ポチくんから みると わたしは クラゲに にていたのでしょうか? | |
やまださんへ202. ぽち | |
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(配達人から渡された封筒に、覚えがなく不思議そうな顔で便箋を取り出す。丁寧に読みやすくしてくれている文章を読めば、「あ!」と嬉しそうな声を上げて、一度老人の家へ向かおう。そのまますぐに、夏を先取りしたような海の便箋を取り出して、) こんにちは! くらげ よろこんでくれて よかったです! ほんとうに てがみ くれると おもってなかったから びっくりして うれしかったです! てがみは あったかくて すきです! くらげは かんじでかくと うみのつきって かくの しってますか おれは かんじはまだかけないけど うみがすきだから それきいて いいかんじだなって おもいました! いいかんじだから たんじょうびに おくろうとおもいました! だめかな? ぽち (上機嫌で鼻歌を歌いながら、鉛筆でなるべく丁寧に文字を書いていく。時々おかしな文字になっていることもあるだろうけれど、そんなことはお構いなしに嬉しそうに返事を書いた。最後に桜の花びらでも入れて、ポストへ投函しようか) | |