福永へ218. アンバー | |
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(島に流れる虹の桜の噂は男の耳にも届いていた。日々木を変え咲く桜を探すは困難のようにも思えたが、ふと気付けばどこかしらには人が大勢いて、ああ今日は此処に咲いているんだなということがすぐにわかる。今日は虹の桜の近くに商店街の有志がブースを設けたのだろう、商売根性逞しく様々な品が並んでいることを声高に叫ぶのが聞こえた。威勢の良い声に引き寄せられるように多くの人が足を止めている。男もまた進んで自ら輪に入っていった。虹の花弁のキーホルダー、栞、ブックマーカー、ポケベルストラップなどなど、多種多様のグッズ達。よくもまあここまで色々と思いつくものだといっそ感嘆しながら、目にとまったお守りを2つ手に取った) 2月の新月、……思い返せば色々あったな。 心身共に無理をさせちまったと今更ながらに思う。 神頼みっつーのもおかしな話だが、このお守りは健康長寿に効くらしい。 納めてくれ。親父さんとお前の分ある。 今後もお前が健やかに過ごせるよう。 (購入した 緑色と青色の桜の花弁が中に入ったお守りを丁寧に包装。お守りと共に購入した虹色の花弁をワンポイントとしたメッセージカードに綴る。お守りと一緒に生成色の封筒へ。共に新月を越えたパートナーである心優しい少年に届ける為、男はポストへと向かった) | |
アンバーさんへ225. 福永正愛 | |
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そうですね…本当に、色んな事が次々と起こったので… 実際の時間よりもずっと長くに感じられるような時間でした。 いえ…!それは最初から納得した上で探しに行きましたから。 それより、アンバーさんに沢山の迷惑をかけてしまった事の方が申し訳なくて… あの後、体調はお変わりないですか? お守り、ありがとうございます。 わざわざ父の分までお守りをくださって、本当にどうお礼をしたらいいのか…。 父に渡したら、とても喜んでいました。 いい付き合いをこれからも大事にするようにって言ってもらいました。 僕も、これから財布に入れて毎日持ち歩きますね。 もう持っているかもしれませんが…僕からも、お返しをさせてください。 アンバーさんが穏やかな夜を過ごせますように。 (彼から届いた虹色がワンポイントのメッセージカードと其処に同封されていたお守りを受け取ってすぐに向かった先は神社。其処で受け取った健康祈願のお守りを同封して空色の便箋とお揃いの封筒に入れて封をして、ポストに投函するとしよう。無論、ポストに向かう少年の鞄の中では黒の財布の中で貰った父と揃いのお守りが揺れていた。) | |
福永へ230. アンバー | |
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返事が遅くなっちまって悪かった。 喜んでもらえたようで何よりだ。 あの時は福永に結局無理をさせちまったから菓子折でも持っていくべきか?とも考えていたんが… それはきっと違えよな、と思い直してのアレだった。 親父さんの言葉、有難く受け取っておこう。お前の御守りも、な。 というか、また俺の心配をして…、福永の”それ”は一生治んねえんだろうな。 おかげさまで俺は病気も怪我もなく恙無く過ごしてる。 有難う、貰ったお守りのおかげだな。 また井戸端で色々話そう。 響咲島井戸端劇団のことや怪談話。特に怪談はこれからがシーズンだ。 もう言ってる間もなく梅雨に入る。 雨に濡れて風邪など引かねえように、手洗いうがいはしっかりしろよ。 (男が棚より引っ張り出したのは、梅雨の窓辺の絵葉書。雨硝子の軒下に吊るされたてるてる坊主が優しく微笑む…、油絵の風合いをみせた傍に文を綴った。テーブルの上には、スタンドライトに立掛けるように、健康祈願のお守りが鎮座している。緑色と青色の桜の花弁は、過ぎ去った春の記憶を呼び起こす。それはきっとあの夜少年がみせた優しさのように、あたたかい。) | |