サチさん221. 不動一生 | |
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修理依頼 サチ殿 貴方の忠告を先に聞いておくべきでした。 夏を待たずに、冷房はうんともすんとも言わなくなってしまいました。 実家のテレビはよく祖父の一喝と一発で直っていたのですが。 つきましては正式に修理を依頼させて頂きたい。 ご都合宜しい時で結構ですので、交番へ寄って貰えないでしょうか。 こちらはいつでも構いません。 宜しくお願い申し上げます。 不動一生 (飾り気のない一筆箋に少し強めの筆圧で書かれたメッセージを、これまた飾り気のない茶封筒へ入れて自転車の籠へ。パトロールのついでに郵便ポストへことりと投函する。初夏の日差しは真夏に比べればまだ優しいものの、これからは暑くなる一方だろう。ふう、と小さく息を吐いてペダルを漕いだ。――罪なき旧式冷房の息の根を止めた拳をぞんざいに擦りながら) | |
不動222. サチ | |
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リョーカイ (手紙と云うのも烏滸がましい、恐ろしく素っ気ない返信はその日の内に交番に届くだろう。何かの紙の切れ端に記された走り書きを押し付けられた配達員は相手が相手故に驚きよりも若干の呆れ顔―但し凶悪な顔をされるので相手が立ち去った後にこっそりと。お喋りな配達員はもしかしたら手紙を渡す際に仕事熱心な巡査にそんな立ち話をして行くかもしれない。) | |