幸正235. 十 | |
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(まるで懐かしの修行のように、最近は森から出ることがなかったこの男。まぁしかし、このときくらいは出てやらにゃあ、男として廃るものだ。なんて。お目当ての人物の家の前までいけば、そのまま右袖に隠していた小さな小さな、紙切れをその家のポストにいれる。) 誕生日プレゼントは俺のありがたーい美声で。 アンタのために唱えてやろう。 聞き惚れて腰抜かすなよ。 (その紙切れ、和紙でできた紙切れには、達筆な字でそうかかれているのだろう。この島での友人に、有難い贈り物をしてやろう、と。そのまま袈裟姿の男は立ち去る。) | |