大泥棒さんへ249. 探偵より | |
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(――ほんとうは直接返したかったけれど、思いの外慌ただしく過ぎ去る毎日にこれ以上季節が巡る前にと探偵は文机に向かう。彼は今どうしているだろう。オモチャ箱のように心躍る日々を過ごしていてくれたらとても嬉しいとエメラルドをふにゃりと溶かし、何度か手を止めながらも丁寧に丁寧に言葉を綴ろう。) (秋が深まり風も冷たくなったとある日に、紙袋を持った配達員が彼を呼び止めるだろう。紙袋の中には丁寧に畳まれたロングコートと、鮮やかな色合いの紅葉が描かれたカードが一枚――) きみの大事な宝物をずっと借りたまま、返すのが遅くなってしまってほんとうにごめんよ。 …寒くなってきたから、体調にはいっぱい気をつけて、いっぱい元気でいておくれ。 | |