i 狐さんへ

278. 月下直緒
... 2018/05/02...Wed // 22:28:53

お久しぶりです、狐さん。つきの湯の看板猫、月下直緒です。
ふざけた書き出しでごめんなさい。言い訳させてもらうと、狐の兄さんには看板猫のほうが馴染み深いかと思って……。

かなり前のことになるけど、あの時はお世話になりました。
怪我の具合はいかがですか。傷痕として残ってないか、今も心配です。

逃げるのに必死だったからかな。あの夜のことはあやふやです。
でも狐の兄さんが俺のこと、うちのことを守ろうとしてくれたのはよく覚えています。
本当にありがとうございました。

今度は餌でもなく、戦友?でもなく、普通のガキとしてお喋りできると嬉しいです。
狐さんもしばらく忙しいみたいだから、あんまりおいたしちゃだめですよ。
体に気を付けてください。

いつでも遊びに来てね。

(利口でないなりに、努めて畏まりしたためたらしい。猫の足あとが散りばめられるレターセットには往時のお礼が綴られて。手紙とともに送られるは和菓子屋の羊羹詰め合わせと、つきの湯の特別招待券三枚。招待券は月下お手製で、デフォルメされたキツネが沢山描かれている。)


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