ポチさんへ290. 山田太郎 | |
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このところ、なにかとおちつかない おてんき ですが、ポチさんはおげんきですか? このあいだは あさごはんに おつきあいくださって、どうもありがとう。 あのあと おかぜをひいたり、ちょうしをくずしたり しませんでしたか。 つかれたとき には、あまいものが きくそうですね。 なつかしの きんたろうあめ です。 きっても きっても、おなじ かおですよ。 またどこかで おあいできたら、おはなししてください。 たのしみにしています。 (白い封筒に、選んだ便箋は以前使った鳩のものではなく、ふわふわとクラゲの描かれた淡い水色のもの) (そういえば、クラゲは海の月と書くのだった) (さしたる用事は無い、内容もごくごく他愛の無いものを選んだ。だからこそ――あの朝に少し、返し足りなかった日常を何より色濃く残して。手紙と一緒に入っていたのは、個別包装された金太郎飴。白地ににっこり笑った金太郎の顔が、何の他意もなく無邪気に描かれていた) | |
やまださんへ291. ぽち | |
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(今日のお昼ご飯はいつも世話になっている老人特製のチャーハン。美味しかったし、体の調子も良い。おかげで気分も良くて、鼻歌でも歌いたい気分だ。そんな中配達員に肩を叩かれ、淡い水色の便箋を受け取る。差出人の名前を見て、ほんの少しだけ緊張感を覚えながらも内容を目で追っていく。中へ入っていた飴を見れば、おおー!と一人感動の声を上げた。つい目がキラキラと光る。その足で商店街へ向かえば買い物を済まし、再び老人宅へ戻ると「じいちゃん、便箋ない?」と聞いて出てきたのは可愛い犬が描かれていたもので。ぺろっと舌を出して、随分とまぬけな顔をしている) こんにちは! やまださん おれは げんきです! きょうは じいちゃんの つくってくれた ちゃーはんを たべました やまださんは また ぱんかな? ぱん おいしいけど ちゃーはんも おすすめです! あめ すごい これは! これは やまださんが かんがえたもの なのかな? てんさいだと おもいました! このあいだの ぱんの おれい は こんどまた あったときに します きょうは おすそわけです! なつ たのしいけど あついから きおつけてね! ぽち (この手紙を書いている間、何度も何度も彼から送られてきた便箋を見る。せっかくだからこちらも大好きな海の生物の便箋で送り返したかったのだが、今はこれしかないのだから仕方ない。けれどこのまぬけな犬もまぁ…悪くはないだろう。その代わりと言ってはなんだが、手紙と共にヒトデや貝殻、魚の形をしたクッキーを一緒に送ろう。手紙の文字はいつもよりカラフルに踊っている) | |