不動くんへ309. 亘秋久 | |
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(お肉も食べてお楽しみの金髪遊びも出来てとても充実した日から暫く。やっと使い捨てカメラのフィルムを全て使い切ったのでウキウキとしながら現像しに行った。友人の分もあるので幾つかは複数の現像を頼み、出来上がりを見てみるとなかなかよく撮れていると思う。馴染みのカメラ屋さんなので、出来上がり写真を一緒に見て金髪の男二人にえ?え?と二度見された)あははっ、これ俺とお巡りさんな。よく撮れてるでしょー。(しっかりちゃっかりとお巡りさんだけのピン写真も撮っており、金髪短髪に少々きりっとした顔立ちは、まあ端的に言ってもガラの悪いヤンキーみたいだ。この状態で制服を着てもらったらよかったと後から思ったので機会があれば第二弾も勝手に計画中である。カメラ屋さんにお礼を言って、家に帰れば早速便箋を用意してクラゲとスイカという謎の組み合わせの便箋に向かい合う。) 不動くんへ この前の写真の現像出来たから送るね。 時間が経ってから見たらやっぱり金髪の迫力凄いわ。 ヤンキー化したお巡りさんも格好良かったよ!舎弟とかいそうっつーか出来そうだったから、あのままどっか舎弟探しに行っても良かったかも。 楽しかったからまたあそぼ。 あと、お肉も食べよう。肉は正義。 亘 (にこにこと楽しそうにしながら手紙を書き終えれば封筒の中に写真を二枚。ひとりで写る金髪のお巡りさんと、金髪の男が二人一緒に写っているものだ。インスタントカメラはタイマー設定が無いので、片手でカメラを持ち腕を目一杯伸ばして感覚だけで何枚か撮り、一番綺麗に撮れていたものを選ぶ。楽しそうに目を細めて笑う己と、金髪ヤンキー化したお巡りさんはどんな表情か。二枚とも綺麗に撮れたと自負しているので、友人が気に入ってくれたなら何よりである。ポストに手紙を入れて立ち去る眼鏡の青年は上機嫌に去っていき) (片付け下手の部屋は散らかっていて、棚の上も雑多にものが置かれているがその一角。学生時代からのもの、友人と写ったもの、信長やひよこなどの動物が写ったもの、様々な写真がフォトフレームに入れられて飾られており。本日も一枚、友人と二人で写った写真が仲間入りをした) | |
亘さんに310. 不動一生 | |
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(巡回からの帰り、いつもの日常の一部として交番のポストを開く。広報誌、夕刊、それにいくつかの私的な郵便物の中にその手紙はあった。制帽をもちあげ手首でぞんざいに額の汗を軽く拭ってから屋内に入る。順番に封筒を開き、指先が辿り着いたクラゲとスイカの便箋の内容、それと同封された写真を見る。事務用の机につき暫し難しそうな顔で過日の遣り取りを思い返しながら、やがて小さく噴き出した。年甲斐もなく――いや、そうであるからこそ、こんな思い付きが思いがけず夏の思い出になったりもする。机の引き出しから白い便箋と茶封筒、切手を取り出し返事を書き始めた) 亘さん 写真、届きました。わざわざ有難うございます。 自分としてはどこか異国風情漂う亘さんの方こそ、金髪が映えていらしたかと思います。 外見は如何様にも変われど中身は変わりませんので。舎弟などという物騒なものは探しに行きませんが、肉を食うのは良いですな。また機会がありましたら。 気づけば季節の変わり目ですので、お体に気を付けて。 (数度読み返し、誤字や脱字が無ければ一つ頷いて三つ折りにし、封筒へ入れる。明日の朝にポストへ出しに行こうと机の目立つ場所へ置いてから、綺麗に撮れている二枚の写真にふと目が行った。慣れぬ髪色に生来の気難しそうな顔立ちが災いして絵に描いたようなしかめっ面の、金髪の自分がそこに映っている。折角後々まで残る写真なのだから、もっと愛想よく出来なかったのかとあの日の自分に自問しつつ苦笑してから、彼の送ってくれた手紙と一緒に丁重に封筒へ仕舞い直すと、私的な郵便を保管している棚にそっと仕舞っておこう。――後日、勝手知ったる何とやらを地で行く某神父に不可解な成り行きによってその写真が露見し、散々っぱら揶揄われたが、それはまた別の話である) | |