きりとくんへ!320. ぽち | |
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きりとくん こんにちは! ぽちです おたんじょうび おめでとう! おれの たんじょうびのとき てがみくれて うれしかったから おれも てがみ かきます! おれ てがみ すきなんだ! だから すっげー うれしかった! きりと ぺんぎんの ぬいぐるみ あったよ! おもいでの ぺんぎん みたいだったから! もし さみしくなったら だきしめて ねてね! また あそぼーね! ばいばい! ぽち (今年彼からもらった手紙は大事に大事に箱の中。それを取り出しては、嬉しそうにクスクス笑いながら何度も読み返す。それに満足すれば色鉛筆を持ち出して、ペンギンの絵が可愛らしく描かれた便箋に文字を躍らせていく。カラフルに書かれた文章は多少読みにくいかもしれないが、当の本人と言えば達成感に満ちていた。手のひらサイズのペンギンのぬいぐるみに手紙を添えて、彼の瞳みたいな蜂蜜色の袋に綺麗に包んでもらった。それを配達人に預ければ、きっと大切に届けてくれることだろう―) | |
ポチさんへ322. 杠霧人 | |
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―――…(綴られた内容よりもまず己が目を奪ったのは色彩。紙面のあちこちで色が楽しげに踊る、まるで玩具箱のような手紙だと思った。便箋へ落とす眼が和らぎ、僅かながらの羨望の声は優しくぽつり。)悔しいけど、やっぱ色彩感覚はあんだよな。この人。(去年の夏、人形に彩色するを見た時より感じていたことだった。人を楽しませようとする相手が描くからこそ生まれる世界。それはいくら自分が再現しようとしても出来るものではない。だからこそモノづくりは面白いのだと、便箋を手放し机へふわり置き、掌サイズのペンギンを手に取るとふわふわの毛並みを指先で擽るように撫で、思い出に浸る。相手から受け取ったひらがなばかりの手紙で察したのか、ひらがなと。わざと漢字で綴った部分と。返事は既に書き終わり、投函を待つばかりだった。) ポチさん。てがみとプレゼントありがと。 ペンギンは つくえにかざってる。 かんし っつーか… こもり されてるみたいでアレだけど このぬいぐるみ あんがい いいつくりしてるし、いいこをみつけてきたんだね。 だきしめ…は、いやガキじゃねーし…とかなんとか かいたらポチさんいうのかな。 おとなだってあそぶよ!って せんげんしたあのときみたいに。 あのことば、いまでもすげー いんしょうにのこってる。 手紙、また気が向いたら書くよ。 慣れねーけど、楽しそうなポチさんの顔が頭に浮かんだから。 それじゃまた いどばたでね。ゆずりは。 | |