月下直緒様328. サンタクロース | |
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(本来ならばクリスマスの朝には彼のもとに届いているべきだったのだろうが、何せサンタクロース本人がのんびりやなもので。気付いたら25日の夜になってしまったことは謝るほかないが、姿を見せないのがサンタクロースでもあって。陽が暮れ始めたころ、「つきの湯」の門前に届けられた緑の紙箱には赤く輝くリボンが結ばれ、「月下直緒様」と丁寧な文字の書かれたカードが挟まっているから、クリスマスに湯を浴びに来た島民の誰かが番台へと届けてくれるだろう。中に入っているのは虹色のサンタコスチュームを身に着けたクマのぬいぐるみと、これまた虹色のラインストーンが無数に詰め込まれた小さな袋。のんびりやのサンタクロースからの気まぐれな贈り物が、彼に喜んでもらえればいいのだけれど――) ――――――――――――――― Merry Christmas! 一年間いいこだった直緒くんに、サンタクロースからのお届けものです。 ポケベルのでこ?にお役立てください。 ――――――――――――――― | |
サンタさん!337. 月下直緒 | |
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(昨年の師走。店先に小さなクリスマスツリーを置いたり、回数券にサンタクロースのイラストを載せたり。クリスマスにもちゃっかり便乗するつきの湯は、その日も変わらず営業中だ。しかしまあ、さすがのクリスマス。家族や友人、恋人などと過ごす島民が多いのだろう。客足はそこそこで、贈り物に気が付いたのはきっとサンタクロースが去ってから。今日も今日とて番台の招き猫をしていると、馴染みの客に紙の箱を手渡されて面食らう。何の日だっけとすっとぼけるつもりはない──、よもやクリスマスプレゼントを貰えるとは。ぱちぱちとまんまるな目を瞬かせて、緑色の箱を大事そうに撫でながら。)えっ、クリプレ?くれるんすか?ありが…………俺からじゃない?マジ?やば〜〜〜、スゴ……。(客は言う、「門前にあった」と。ならば、一体誰が。──いくら馬鹿でもサンタクロースは実在せず、誰かがなりすます必要があるのは知っている。でも、それなら尚更。)………誰がくれたんだろ。(仕事も終わり、自室にて。綺麗に名が綴られるカードと、赤いリボンが上品なプレゼントと暫く睨めっこ。知人の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。が、その内野暮なことは止めた。サンタクロースは実在するのかもしれないし、件のサンタクロースが匿名を希望するなら致し方なし。もう開けちゃおう、正直中身が気になって気になって仕事が手に付かなかった。わくわくと高揚しながらもゆっくり、ゆっくり箱を開ければ──)わ、わ。…………わ〜〜〜!?すげーな!?(かわいいくまのぬいぐるみと、煌びやかなラインストーン。添えられたメッセージも素敵で、ぴょこぴょこベッドで飛び跳ねた。テンションはブチ上がりである。くまのぬいぐるみはすぐお気に入りのコレクションに加え──るのみならず、度々番台に座らせている──、ラインストーンはポケベルを彩るだけでなく、様々な場面に用いられた。すごく、すごくすごく嬉しい。その気持ちを伝えられたらと書き上げた返事は、つきの湯の門前や井戸端会議にも持ち歩いていった。便箋にはでかでかとサンタさんへと書いたから、何処かに置いておけばと。いつの日か、サンタさんの手に届くと信じて。) ――――――――――――――― サンタさん! メリークリスマスでした!! 俺って日頃の行いがいいんすね。それはやっぱりなって感じなんすけど、まさかプレゼントが貰えるとは思ってませんでした。 プレゼント、ありがとうございました。どれもすごく嬉しかったです。 もちろんソッコーでポケベルデコったし、くまはよく持ち歩いてます。フワフワ〜かわいい〜。 誰か分かんないけど、今度は俺に何かプレゼントさせてくださいね。 クリスマスじゃなくてもいいんすよ、お礼のつもりなんで。 じゃあまた、どっかで!インフル流行ってるから気を付けて! ほんとーーーにありがとうございました! なお ――――――――――――――― | |